古来より日本では屋根に瓦を用いてきましたが、地震による被害を軽減するためにも、最近では軽量化を実現した金属屋根材に注目が集まるようになりました。屋根には自然災害にも負けない強さと耐久性が不可欠です。
近年では多くの形状、素材、カラーなど多数のラインナップが揃い、「住まいの雨傘」も選べる時代になりました。
今回は、金属屋根材の特徴を知り、ご自宅にとってのベストな「雨傘」を考えてみましょう。
金属屋根に使われている主な素材
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板とは、アルミと亜鉛とシリコンで鉄板を両面から加工した鋼板です。耐食性に優れ、アルミ含有率が55%と高いのでトタンよりも耐熱性に優れています。そして商材自体が薄い鋼板なので、加工がしやすく、様々な形にすることが可能なので近年では、スレートや日本瓦に似せた商品もあります。金属特有の雨音などの防音性については近年、石粒付きのガルバリウム金属屋根材を使用することで克服されています。
亜鉛メッキ鉄板
通称トタンとも呼ばれ、鉄板を亜鉛めっきで覆ったもののことです。亜鉛の犠牲防食作用を利用して、鉄板のみの場合よりもさびにくく加工されています。薄く軽量なので地震にも有利なのがメリット。比較的安価なため、工場や倉庫に多い傾向にあります。近年では、亜鉛とアルミの合金めっきのファインスチールという素材も開発され、トタンの性能は日々進化しています。
ステンレス
ステンレスとは、クロム(Cr)を約12%から約32%含む鋼の総称で、亜鉛をめっきした薄い鋼板屋根材のことをいいます。鉄板だとすぐに雨で錆びが発生するので、防錆効果を見込んで亜鉛をめっきしています。葺き方は、長方形の平板を横長に葺く「一文字葺き」や、棟部から軒先に向けて棒を並べたように葺く「瓦棒葺き」が代表的です。また、浅い勾配でも使用可能で軽量で価格が安いのがメリットです。しかし外気温度に左右されやすく雨音が大きいなどのデメリットもあります。
銅
銅板は一般的に耐食性がよく、時期を経て発生する青い色の錆(緑青)が演出する風合いが人気です。加工性が非常に良好で、細かな加工が可能なので意匠性も高く神社仏閣などで多く使われています。一般的に新しい銅板が大気にさらされると酸化が始まり、褐色を帯びて以下のように変化します。
カバー工法ができる金属屋根
年々需要が高まる屋根のカバー工法ですが、今回は、断熱材入りの商品3種類をピックアップしました。それぞれの特徴を知り、どんな違いがあるのか知っておきましょう。
スマートメタル〔ケイミュー 株式会社〕
厳しい環境でも優れた耐食性を発揮します。さざなみをモチーフとした小刻みなウェーブ形状が、葺きあげた際の外観美をより高めます。千鳥葺き、階段葺き、乱葺きと3種類の葺き方があり、選べ葺き方の違いでイメージの異なる仕上がりになります。
スーパーガルテクト〔IG工業 株式会社〕
特殊なちぢみ塗装を採用し高級感あふれる質感が特徴です。表面が遮熱ポリエステル樹脂塗装なので日射による鋼板温度の上昇を抑制します。穴あき保証、塗膜・赤錆についてもメーカー保証15年となっています。
スーパーガルベスト〔株式会社 オリバー〕
鋼板と硬質ウレタンフォームの一体成型により、他の屋根材にはない断熱性能を発揮します。室内温度の上昇を大幅に軽減する効果が見込めます。穴あき保証25年、塗膜保証15年、赤錆保証20年と保証内容が充実していることから抜群の耐久性能を有していることがわかります。
金属屋根の最大の特徴「軽い!」
金属屋根の特徴として新築時に使用される陶器瓦、スレート瓦、セメント瓦に比べると格段に軽いということがメリットにあげられます。
この軽さからも建物に負担をかけず、カバー工法に適していると考えられます。
屋根カバー工法 施工時の注意点
屋根の施工方法としては、塗装、張替え、カバー工法の選択肢がありますが、既存屋根の解体・廃棄費用と期間を削減できることからカバー工法を選ばれるケースも多いのではないでしょうか。そこでカバー工法の注意点について解説します。
既存屋根がスレート屋根の場合
既存屋根に防水シートを貼り、金属屋根材を施工するという比較的シンプルな作業工程ですが、以下のような注意が必要な場合があります。
金属屋根の場合(天然石吹付け仕様を除く)既存のスレート屋根よりも表面の仕上がりが平滑になるため、雨水が流れ落ちるスピードが早くなります。そのため、雨樋の調整を行わないと雨水が雨樋を飛び越してしまい、雨水が入らなくなってしまう可能性があります。
屋根カバー工事の際には、同時に雨樋交換もお勧めします。
既存屋根が陶器瓦・セメント瓦の場合
陶器瓦・セメント瓦にはカバー工法ができないため、既存屋根の撤去が必要となります。
既存下地は長期に渡り瓦の重さに耐えているため傷みが出ている場合がほとんどです。傷みや腐食がひどい場合はそのまま金属屋根を施工することができないので、下地の上に構造用合板またはコンパネを貼ってから防水シート、金属屋根を葺きます。
このように下地の状態がしっかりしていないと施工ができないケースもあります。